監督「ジャミー=マイス」

ミラクルワールド
『ブッシュマン』


1980年 南アフリカ

執筆日:2002年 7月4日





■第一章 『空の神様の贈り物』


『ミラクルワールド ブッシュマン』は、
アフリカ原住民「ブッシュマン」の男性『ニカウさん』の、
コミカルな冒険(?)を描いたコメディ映画です。



…アフリカの草原で暮らす「ニカウさん」は、
動物の皮で作った簡単な服を着て、槍を使って動物を狩り、
少ない植物を採取して水分・栄養を得る、

そんな生活を営んでいる原住民の1人です。

「ニカウさん」は、この土地で、
老若男女10人ほどの一家の長として生活していたのですが…




…ある日、近くを飛行中のグライダーから
操縦者が『コーラの空きビン』を投げ捨てて、
それを「ニカウさん一家」が拾ったことから事件が始まります。

ニカウさんたちは、その「空きビン」
『空の神様からの贈り物』と考えて、
自分たちの生活に役立て始めました。



横を叩けば「打楽器」になり、
ビンの口を上向きにして横から息を吹きかけれけば「フエ」になり、
水を蓄(たくわ)えることはモチロン、
ツルツルした表面は「獣の皮をなめす」のにとても便利です。



…最初の頃は、その便利さに喜び、
『空の神様』感謝していたニカウさんたちでした。


ところが…




…便利なものが手に入れば、
それを『自分だけの物にしたい』
考えるのが生き物の常です。

仲の良かった「ニカウさん一家」のあいだに、
『空きビン』の取り合いによるイザコザ
起きるようになってしまいました。



怒ったニカウさんは『空の神様』に空きビンを返そうと思い、
何度も空にむかって投げ上げました。

…が、当然、空きビンは地面に戻ってくるばかりです。

どこかそこらへんに捨てようにも、
また誰かが拾って、争いの種にならないとも限りません。





…ついに、ニカウさんは決意しました。

『誰もいない世界の果てまで歩いていって、
そこに「空きビン」を捨てよう』
と。


『世界の果て』を目指す、ニカウさんの冒険の旅が
今、始まったのです。







■第二章 『ラブコメ』


…と、ココまではすごく面白かったんですけどねぇ。



…ここから、物語の舞台がいきなり変わり、
『ニカウさんの住んでいた場所から少し離れた、
日本の小さな村ぐらいの文化と施設のあるアフリカの村』

に移ります。


で、アフリカ人じゃなくて「日焼けした白人男性」
中心とした話になり、その村にある小さな小学校に赴任してきた
「素敵な白人女性」との恋のドタバタ劇になります。



「白人男性」は、女性恋心を感じつつも、
生来の無粋な性格がジャマをして失敗の連続。


恋する彼女に、完全に呆(あき)れられてしまいます。
(その割には、彼女の下着姿をたまたま拝めたりして、
環境的には恵まれております。
「映画」って本当に素晴らしいですね。)






…そんな時、村の近くに潜伏していた『武器密輸団』(だっけ?) が、
小学校の生徒たちを彼女もろとも人質に取る、
という大事件が起きました。



で、たまたま近くを通りかかって、
「白人男性」と知り合いになっていた『ニカウさん』が、
人質救出大活躍。

動物を狩るときに使う『麻酔針の吹き矢』で、
密輸団の強面(こわもて)どもをバッタバッタと眠らせて、
見事、人質の奪回に成功するのです。



ニカウさんを手伝って、そこそこ頑張った「白人男性」も、
その勇気に「白人女性」が感動して相思相愛になるという、
ゲロが出そうな「ご都合主義」
やっぱり『最後に愛は勝つ』のだなぁ、という
結末を迎えるのです。





…ちなみに本目的である「世界の果てへの旅」は、
この事件のすぐ後に、ニカウさんが巨大な谷を見つけて、
『ここが世界の果てだ!』と勝手に思い込んで、
谷底にビンを投げ捨てることで完結します。



見終わってから考えてみると、
『白人どものラブラブでお色気なイザコザと、
武器密輸団によるドンパチ部分』

本当に 全く さっぱり 完璧に 不必要ですね。




でも、この部分を入れることで
『セックス アンド バイオレンス』
の要素が付加されて、
商品としてはグッと良くなったと考えるべきですか、監督


なるほど。 「不必要」とは失言でありました。
素人批判など申し上げた我が身が恥ずかしいですね。





…でも、1ユーザーとして申し上げれば、

『あそこはゲロつまらねぇよ、監督。』






■第三章 『色々』


…かれこれ10年 (2002年現在) ばかり
「東京」で暮らしているせいか、この映画の前半の
『自分たちの持てる環境の中で、工夫して生きていく姿』
強い共感を…

『他人からの干渉がほぼ皆無の環境』
強いあこがれを感じました。


「旅立ちの動機」も、面白いし、納得がいきます。





なのに、なんで中盤からあんなふうになっちゃうかなー。(泣)

最初が良かっただけに、心底ガックリしました。





…あと、この映画、
『元フィルムを2〜3倍に早送りしたような映像』
を使っているシーンが結構ありました。


「中割り」を使わず (途中の余分な映像などをカット)
全行程を短時間で見せることによって
『チョコマカした動きのコミカルさ』が出ており、
さらに、カメラをロング視点にすることで
『マヌケさ』もうまく表現されております。


これらのシーンは、単純ながらけっこう笑いました。



最初の流れそのままに行ってくれたら、
きっと自分の『お気に入り映画』になったと思います。

ちょっと残念。




…あと、実はこの映画を見たのが「1年も前」なので、
忘れてしまった「細部」の批評はせずにおきました。

細やかな指摘・批評を期待していた方。 申し訳ないー。



(そうそう、この映画を見て初めて、
「ブッシュマン」がけっこう小さいことを知って驚いた私です。
手足がヒョロ長いので、実際よりもずっと長身
(180〜190センチぐらい)
だと思っておりました。)





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