監督 村野守美


『ユニコ 魔法の島へ


1983年 日本           執筆日:2005年 5月30日





■第一章 『あらすじ』


『ユニコ』は、手塚治虫原作のアニメ映画です。

子犬ほどの大きさしかない頭に角のある珍獣「ユニコ」が、
「西風」によってどこかの森に捨てられ、「山猫」に追いまわされたり、
村の少女「チェリー」と仲良くなったり、
魔法使いの弟子「トルビー」に石の人形にされかけたり、
「スフィンクス」に会いに行ったり、世界の果てを目指したり、
大きくなったり小さくなったり、恨み人形「ククルック」を成敗したりします。


すいません、途中だいぶハショってますので、詳細は実物をご覧下さい。






■第二章 『けも萌え』


手塚先生原作ということもあり結構知名度の高い『ユニコ』ですが、
今まで未見でありましたが、その旨を友人のKJIさんに打ち明けたところ、
『けも萌えハァハァ』(意味は各自考えること)ということで、DVDを見せて下さいました。


ズバ抜けた技術力で定評のある「マッドハウス」が製作協力していることから、
ある程度予想はしていましたが、とにかくキャラが、背景が動く動く動く!

しかも、「やたらめったらに動かしてる」ようなスタッフの自己満足ではない、
『効果的な動き』『矢つぎ早やに変化する背景と視点』による
圧倒的なスピード感が、何ともいえず心地良いです。


同時期のTVアニメに『やたらめったら動かして』喜んでいる
スタッフが多かった(「スタジオひ○えろ」とか)ことを思うと、
同じ業界に籍を置きながらここまで異なる物作りの姿勢があるのか
驚愕せずにはおられませんね。



あと『透過光』を効果的にバンバン使った画面は、とにかく幻想的です。

今でこそ、CGで楽〜に何度でも試しながら作れる透過光を、
当時の設備でこれだけ使用して、しかも画面としての効果を
上げている点には脱帽以外の感想が思いつきません。



さて、この『ユニコ』ですが、僕は映画はもちろん
「原作」も読んだことが無いという、まっさらの状態で視聴いたしました。

なので、『西風のやつ、ユニコを捨てていくとはなんと冷たい!』とか
最初は思っていましたね。

『思い出を作りすぎたから、そろそろ別の土地に行きましょう』
とか言って、勝手にユニコを新たな旅路に連れてっちゃうし。 鬼かよ!

DVD特典の「キャラクター紹介」が付いてなかったら、
どうなっていたことか…



そうかー、「西風」の行動にはそんな理由があったのね。

そして、「ユニコ」はそういう生物だったのねー。
(詳細は各自で調べられたし …て、もうご存知ですか)






■第三章 『総評』


 総評としては、『とにかく多彩』で、
これでもかと言わんばかりの『ボリューム』
先述の『アニメとしての動きとスピード感と幻想的画面作り』が、
タップリと視聴者を楽しませてくれます。


反面、『盛り込みすぎて各々のファクターの掘り下げが
浅くなってしまっている』
のが本当に残念です。
「子供向け」映画の作りとしては、これで正しいのかも知れませんが…


『トルビーの家出の理由』、『父子の確執』、
『ククルックとユニコの精神的共通点』
など、
大人になった今こそ踏み込んで見てみたい要素が山盛りです。

ああぁ、見たいっ! 大人向け『ユニコ』!
「今川泰宏」監督あたりが、作ってくれないかなぁ?



あと、KJIさんが『子供の頃に見てトラウマになった映画』と言ってたけど、
アレですか? あの『生き人形』のシーンのことですか?
たしかにアレは精神的にグサリと刺さる不気味さがありました。
子供が見るにはツラい内容かもしれん。(子供映画だが



クライマックスでの『ユニコとククルックの会話』は、
画面の派手さに反してお互いの感情が押さえ気味なのが、
逆に 深み を感じさせて良かったと思う。

…けど、ユニコよ。

『友達になってあげるから、皆を元に戻してあげて』て、
さりげなくヒドすぎんか?

「交換条件」付きの友情は、最も友情から遠い行為と知れ!!




などなど、色々申しましたが、もちろん作品としてはお勧めです。
運良くレンタルショップなどで発見したら、ぜひご覧になって下さいね〜。



…あ、そうそう。 見終わってみると、思ったほどは
「けも萌え度」は高くなかったように思えました。(意味は各自考えること)






戻る