監督  宮 繁之


ルパン三世SP
『天使の策略』



2005年 日本           執筆日:2005年 7月23日





■第一章 『すぺしゃる』


最後にテレビで「ルパン三世スペシャル」を見たのは何年前だろう?

この季節は不思議と時間の流れが速くて、
気が付くと日が過ぎて見逃してしまい、
『まぁいいや』を繰り返すことが多かったのだが…

最後にシッカリ見たのが『ヘミングウェイ・ペーパー』だから、えーと…

うげ、15年前 !? 見ないにもほどがありますね。



いや、だって、この時期「野球」以外は、TVに電源入れたくないのです。

『20うんぬん時間テレビ』だの抜かして、夏の暑さで思考力が低下し
夏期休暇のうれしさで何に対しても評価が甘めになっている視聴者に、
「夏の思い出」とばかりに芸能人の馴れ合いと安い人情話やお涙頂戴話の
ゴッタ煮を垂れ流し、24時間以上睡眠をとらずナチュラルハイに
なってしまった出演者と視聴者が「グランドフィナーレ」とか言って大合唱し、
共に大きな何かを達成し1つに結ばれたようなニセモノの充実感を満喫させる』

ような、わびしく憐れでミジメな番組電波なんか受信したくないですわい。

だいたい、思考力が低下したときに連帯感を刷り込む手法は、
まんま『カルト宗教』だしなー、桑原々々。



で、何の話だっけ? あぁ、ルパンだルパン。
逮捕だルペーン。 じゃあその女に、コルカカで死んだって伝えてやるぜ。

疲れてるのか俺。






■第二章 『良し悪し』


ストーリーは単純極まりないので割愛して、良し悪しだけ列挙してみましょう。


『つかみはイイ』

いきなり、ルパンファミリー全滅です。 ファンは仰天です。 俺も。

でも、直前に「五右衛門が警備員たちを斬殺するシーン」があって、
その違和感から『夢か、シミュレーションでは?』と視聴者に
バレてしまっているだろうから、そこだけが残念。




『演出がちょとイイ』

カメラアングルが細やかに変わってスピード感があったり、
光と影の対比を利用した演出にチラチラと見所があったり。




『メイン声優が…』

僕は 小林清志さん 大好きです。
増山江威子さん の悩ましいボイスも素晴らしいと思います。

でも、さすがに10年以上のブランクをもって見てみると、
次元からはシャープさが消え、まったり感が。
不二子からは謎の美女感が消えて、近所にいそうな感じ
それぞれ漂ってきて、ファンとしては心境複雑でした。

世代交代の時期なのかもしれない。 寂しいが…




『無理があるロマンス』

今回はメイン男性キャラ4人が全員、何らかの形で
「敵組織の女」と相対する形になってます。

結果、一方的だったり相思だったり何らかの感情の交差が生まれるわけですが、
2時間弱のアニメで、しかも相関関係がカッチリ出来上がっている
「ルパンファミリー」+「銭形警部」に、
さらにそれぞれ愛憎劇をやらせるのは、やはり無理無理だったようです。


ルパンは「美人大好き」なので、
短時間で女性関係が生まれてもあまり不自然ではないですが、
銭形警部と組んだ『敵組織の黒幕』はちょとヒドい。

あれほどの組織力が背景にある人物が、どうして
「銭形の助手」として潜伏する必要があったのか…


ロマンスを作るために話をヒネリすぎて、
根本的な部分がおかしくなった感じ。




『女性キャラが…』

並んだとき、もう全然融合していない
モンキーキャラオリジナル美女

痛々しかったです。




『というか、盗みが…』

「盗み」自体はアッというまに成功して、それ以降の
『世界レベルの陰謀と戦う』ことがメインになっているのが昨今の「ルパン」だ、
という話を昔聞いたことがあったのですが、今回も正にその通りでした。

『突破不可能としか思えない警備を、頭脳と行動で打開する』ところに、
ルパンらしさがあるのではないか?と思うんだけどなー。

銭形警部も、ジワジワとルパンを追い詰めるネチっこさが無く、
底の浅い人物像を感じた。

そのせいか緊迫感も希薄で、見ててハラハラせんです。





…こんなとこでしょうか。

底々アクションもあるし、部分的に見れば美しい場面もありますが、
わざわざ2時間を費やす価値は無かった、という感じです。

個人的にはずいぶん久しぶりに「新作ルパン」を見れたのが嬉しかったですが、
そこ止まりですね。 来年はもっとガンバって下さいねー、スタッフの皆さん。






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