監督: 下山 天


『弟切草』


2001年 日本

執筆日: 2007年 02月02日





■第1章 『勘弁してください』


駄作… なんというイヤな言葉でしょう。


それが商品として流通している以上、
それを作った人たちなりに必死で物づくりをしているわけですし、
価値観は人によって違うわけですから、軽々しく「駄作」呼ばわりするのは
人間として良くない行為だと思うのですとでも言うと思ったか? この池袋ふきが。




こいつは久々に大ヒットな駄作です。

作り手の中途半端な技巧が鼻につく、見事なまでの駄作。




こんな駄作でも、『弟切草』(ゲーム版)信者は必死で擁護しているんだろうな、
と思ってネットのレビューを見回してみると… いや、皆さん冷静でした。



8割強が「ゴミ」「駄作」の太鼓判。

そして残りは、『皆が言っているほど悪くない』という中途半端な擁護発言


これです。 こういう発言が出てきてこそ、
真の駄作の地位は不動のものとなるのです。



おめでとう、『弟切草』。 キングオブ駄作。


キングオブてことは無いだろうけど、
1つの揺るがぬ塚ぐらいはあると思います。 駄作の。



では、以下にて大ざっぱなレビューをば。
細部に関してはバカバカしすぎるので、指摘は勘弁してあげます。







■第2章 『色々』


『数少ない誉めるべき点』

もちろん100%ゴミとまでは言いません。

自分たちの行動をビデオカメラで撮影しつつ進み、
その画面自体も挿入されるので、
視聴者に主人公視点を提供することによる臨場感の演出に成功しています。
(巻き戻して、さっきの状況を確認したり、とか)



画面の暗さも、観ていて錯覚(壁の模様が人の顔に見えたり)を招くなど、
視聴者の想像力をかきたてます。


もっとも、暗すぎて何がなんだか分からず
何度も巻き戻しては確認しましたが。

DVDで観てる自分がこんなに苦労したんだから、
映画館でリアルタイムで観ていた人は大変だったろうなぁ。





『くどい画面』

全編通して『色相ズラし』バリバリで、
(本来は青い空が、ドぎついムラサキになってたり)
しかもリアルタイムに色相がズレていくさまは、
生理的な限界を超えており、観ていて何度も吐き気に襲われました。



動作の途中に、唐突に画面が「早送りぎみ」になる演出も飽き飽きです。

元々ジンワリとした恐怖を目指して作られている感のある
当商品の雰囲気を、その都度破壊しています。

フィルムカットすりゃいいだけの事じゃん。

演出家の技巧が鼻につきますね。



時々混じる「監視カメラ」の映像も、
イカニモすぎてバレバレなのが悲しかったです。





『えせサイバー』

既存の同種のホラーと異なる点として、
リアルタイムに外部の仲間と情報交換し、
ジワジワと謎を解いていく… という要素があります。

これは「面白い!」と素直に思います。
ビデオ画像を元にしたマッピングは、
個人的に「すごく楽しそう」だと思いました。



が、ケータイ端末をアンテナにして、ビデオ画像や
ハードディスクの全データを送信したのには腰を抜かしましたが…

2001年て、やっとFOMAが出始めた頃ですが、
山岳部には『FOMA用アンテナ』が無い時代…
アップロード速度はせいぜい60Kが限界だったと思います。

ハードディスクの容量を小さめに100Mに見積もったとして、
最高の条件下でもかかる時間は約30分

これを大人しく待っていた殺人鬼は、けっこう紳士とは言えますまいか?



パケ代も相当にかかったはず。

主人公が「パケット破産」のホラームービー
というのも斬新といえば斬新ですが…



で、動画ファイルを受け取った仲間は、結構すぐに
ハードディスクのデータの意味に気づいて返信してきます。

フォルダ表示を見る限り、中には相当な数の動画が入ってたのに…

スーパーすぎるよ、あんた。





『謎な謎』

「直美の行方不明を報じる新聞」

「殺された管理人」

「絵の中に必ず描かれている弟切草」

「双子の妹だと思っていた直美は、実は弟だった」(でも胸はある)

「殺された6人の少年」

「絵の続きを姉さんが描け!とせまる直美」



直美いわく、姉である奈美に対する『復讐』が理由だったそうだが、
こうしてそれぞれの謎を並べてみても分かるような分からないような、
多分シナリオライター自身だけは理解していて鼻の穴をフフ〜ンと
膨らませている
ような、そんな雰囲気をありありと感じますね。

作り手に、「観ている人間に伝えよう」という姿勢が最初から無い感じ。

思わせぶりな謎で、底の浅さを隠蔽しようとしたのかも知れんですね。





『オチ』

実は全部ゲーム内の出来事でした〜

…という結末は、「あーあ、やっちゃった…」感にあふれていて痛ましく、
製作者に対する憐れみで画面が曇りました。 合掌。






まとめると、世間的な知識や製作経歴の浅い人間が、
ホラー映画のポーズだけを真似ようと四苦八苦したら、
えもいわれぬ痛々しい汚物が爆心地に残った… という所でしょうか。

こういう本気度のカケラも感じない物づくりは、見てて本当に不快ですね。


「ホラーなら何でもいい」
「弟切草の関連商品なら何でもいい」

という方以外にはお勧めできません。

「弟切草」というネームバリューから共通の話題にしやすいと思うので、
それを期待する人は、まぁ頑張って観てみてはどうでしょう?






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