監督: 千明 孝一


『ブレイブ ストーリー』


2006年 日本

執筆日: 2007年 04月28日





■第1章 『ダイジェスト版』



以下の文章は、2006年年末に視聴したときのメモを元に記憶を辿って書いたものです。
多分大丈夫だとは思うが、もしかしたら勘違いがあるかもしれない。 

マンガ版か小説版を持っていれば物語自体の比較批評をしたいのですが、
持っていないので、あくまで映画版単体として批評します。




昨年末、友人宅に遊びに行った縁で、『ブレイブ ストーリー』を視聴しました

2006年の中盤にコレデモカというほどドカドカ宣伝された映画なので、
タイトルだけは知っているという人もいる事でしょう。



で、肝心のアニメ映画としてですが…

パッと見の絵の仕上げは、やはりキレイですね。
背景美術もすごいと思います。




でも、見所はだいたいそんなところだけではないでしょうか?



あとは、

『基本的に流されるだけの主人公』

『いやになるほど分かりやすいステロタイプなキャラクタ』

『間の「なぜ?」をスッ飛ばして、結果だけを羅列した、
事件の上辺だけをなぞるようなダイジェスト的構成』


『かつ、ダイジェストしているのが事件のみで、キャラ心理の変遷が
描かれないので、物語後半になっても人物に愛着が湧かない』


『効果よりも奇抜さを重視した演出を入れて
鼻高々になっている製作サイドが垣間見える』


などなど、映像技術が良けりゃ文句ねーだろ?的な作りは、
ある意味、製作会社の『GONZO』節があふれていて清々しいですね プー。


作画の出来も、場面によって結構上下していて、見てて安定感が無い…





まぁ、この映画を「家族皆で楽しめるもの」として製作したのだとしたら、
決して悪い作りでも無い、と言えるかもしれません。

『主人公の目的が、TVゲームぽく単純化されている』ので、
主人公がこれから何をすればいいのかが明確で、
頭を使わなくても視聴できます。

小学生前後のお子さんといっしょに観に来る親御さんには、
これぐらいのレベルがいいのかも。

親にとっての最優先は、内容ではなく、
子供との共通の話題(思い出)を作ることですから…

映画館では、スクリーンではなく、
映画を観ている子供の姿に目が行くのが親というものです。





そうそう、声優についても触れておきましょう。

芸能人や、「水曜どうでしょう」の大泉洋、原作者自らも出演しているようです。
商品としての話題性という意味ではイイんでしょうね。

最近多いですね、この手の。


出来は、セリフの聞き取りにくい部分もあるが、
まぁ、芸能人がやっている割には良かったんじゃないの?程度。

他がヒドすぎるから比較自体が無意味な気もする。

個人的には、大作ではやはり、真の力量を持つ本職の方に演じてほしい…
「芸能人の割には良い」なんて批評が口をつくようでは、
俺も不景気に慣れて、ずいぶんボーダーが下がったものですね

金が無い時代の文化というものには、
製作者と消費者の間にどこか侘しい馴れ合いがあって、イヤになります…





結論としては、
親子のちょっとした共通の話題作りにはイイんじゃないの?
レベルの代物です。






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