『機動戦士ガンダムU 哀・戦士編』





1981年 日本

監督 : 富野由悠季



執筆日 : 2009年 06月18日





■第1章 『ダイジェストすぎ』


『機動戦士ガンダムU 哀・戦士編』は、
TVアニメ「機動戦士ガンダム」の中盤をダイジェストした、
劇場版ロボットアニメです。


劇場版第1作と同様に、TV版をダイジェストし、
一部追加カットを入れ、音声の再収録をしたものです。




誰もが気がつきやすい変更点として、
まず『BGM』があると思います。

といってもガラリと変わっているわけではなく、
TV版原曲のアレンジバージョンという感じでしょうか?

良し悪しは抜きにして、雰囲気に若干の変化が感じられます。




そしてもう1点は、『コアブースター』の登場です。

ご存知の方も多いと思いと思うのですが、
TV版で登場する『Gファイター』は、
低年齢層向けの視聴率アップを狙って無理矢理追加したメカであり、
制作サイドにとっては実に不本意な存在だったそうです。

そのため劇場版では、世界観としての整合性をはかるために、
「Gファイター」は無かったことにして、
その代替としてコアブースターを登場させたそうです。

コアファイターの後部に大きなブースターを並列させたような追加装備で、
火力と速度が大幅にアップします。
たしかTV版でも、「Gファイター」の後部ユニットを
コアファイターにドッキングさせて
スピードアップをはかった話があったように記憶します。


ただ、このコアブースター
実は「Gファイター」のような、
目に見える砲門が付いていないのです。

そのため、画面を見ていると、
『あのビームはどこから出ているんだ??』
首をかしげるシーンがそこかしこに出てきます。



また、コアブースターに関しては当然全て新作カットになるのですが、
基本的に「基本色・影色」の2色で塗られているガンダムの画面内にあって
「テカリ色・基本色・影色」の3色で着色されているコアブースターは、
妙にテカテカと画面から浮いてしまっています

整合性をはかるなら、
色指定に関してもはかってほしかったところです。




それ以外で気になった点は、やはり
『2時間に押し込んだ無理矢理なダイジェストぶり』
でしょうか?

なんというか… カットしすぎ
カットしすぎで、別の話になりそうな危ういものまであります。



例えば、ホワイトベースの陽気な兄貴的存在だったリュウ=ホセイが、
ガンダムを救うためにマゼラトップに特攻死し、
バラバラになりかけていたホワイトベースクルーが自省から再び団結していく…

という一連の感動的な流れも、
『マチルダ』の死と一緒くたにされた上に
明らかに陰に隠れてしまっています。


また、ジャブローに潜入したアカハナのアッガイは、
カットの流れ上、どう見ても戦車にやられてオダブツになっており
かわいそうなほどマヌケな存在になってしまっています。


3機のドムによるジェットストリームアタックで有名な
『黒い3連星』に至っては、
マチルダが死ぬあの戦闘で3人ともガンダムに殺される軟弱ぶり


劇場作品においては、
2枚目キャラ以外は使い捨てということでしょうか?

鉄郎も無理矢理2枚目になってたしな…(唐突な例)




全体としては…

すでにTV版を観ている人なら、
オリジナルとの違いが笑える映画。
 

TV版未見の方にとっては、
次々と色んな事が起こるので、ついていくのが大変な映画。


…という所でしょうか?


1作目同様、『ぜひTV版でご覧ください』と言いたい内容です。






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