ドラゴンボールZ
地球まるごと超決戦
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1990年 日本
監督 : 西尾大介
執筆日 : 2009年 07月10日
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■第1章 『画面の美しさ』
『ドラゴンボールZ 地球まるごと超決戦』は、
TVアニメ
「ドラゴンボールZ」の
劇場版第6作です。
戦士
『ターレス』をリーダーとする
サイヤ人の生き残りたちが地球に飛来。
「神精樹」(しんせいじゅ)と呼ばれる、
星のエネルギーを吸い尽くす巨木を植えられてしまい、
地球は大ピンチに。
ターレスたちを撃破し、神精樹を食い止めるため、
悟空をはじめとする地球の戦士たちが戦いを挑む!という話です。
今回特筆すべきは、その
画面の美しさでしょう。
動画もさることながら、
淡く深く描き込まれた
背景の美しさ…
何気ない1シーンに光る
色合いの演出…
(倒壊していく白いビル群の前で、赤い風船を持ってたたずむ少年の後姿など)
画面に物すごいこだわりを感じさせる作品です。
(当作品が作られた1990年より少し前は、バブル崩壊直前の時期。
作品というものにキッチリと力と資金を注ぐことのできた、
ある意味最後の輝きを持った時期でした。
あれから20年近く経って、世の中の大半が
即物的に動くことが当たり前になってしまった日本…
こうした作品を見せつけられると、今の時代のさまざまな不幸を
しみじみと再認識せざるを得ないのが悲しいです。)
また、
悟空が『大猿化した悟飯』と戦ったり、
『元気玉を2度撃ち』したり、
『敵であるターレスの姿が悟空ソックリ』だったりと、
不思議な光景を多数見ることができる映画でもあります。
一方で、主人公たちと森の動物との交流といった
『人間視点によるステロタイプな平和風景』が鼻につく所がありますが、
これは対象年齢をやや下げているのかもしれません。
しかし、だとしたら、
戦闘シーンがいつもより少なめ(質は高いですが)で、
地球が崩壊していく美しくも空恐ろしい風景描写が主体になっている当作は、
本当に子供が喜べるものになっているのだろうか? と
疑問も浮かびます。
いつものハデな戦闘シーンが期待したほど多くなく、
背景を見せるシーンの多さが間延び感となって、
やや物足りなくイライラ感じられるかもしれません。
ただ、くり返しますが、
『シーンとしての美しさ』は同劇場版シリーズの中でも屈指です。
ちょっと毛色の違う、
美しい「ドラゴンボールZ」。
お試しになってみてはいかがでしょうか?
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