スーパーファミコン用ソフト
『ジェリーボーイ』
販売 ソニー ミュージック
プレイ時間 「オールクリア3回」
購入価格 1180円
執筆日:2002年 12月10日
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■第一章 『兄弟ゲンカ』
…
『ジェリーボーイ』(ソニー ミュージック) は、
2Dアクションゲームです。
このゲームの企画者は、なんと
『ポケモン』(任天堂) でおなじみの、あの
田尻さんです。
が、タイトル画面のスタッフをよく見てみると、
企画自体は彼の会社
「ゲームフリーク」が担当していますが、
プログラム部分は
「システムサコム」が、
そして
販売は
「ソニーミュージック」が担当しております。
『ポケモン』で有名になる前の
下積み時代の痛々しさと、
自分の企画を形にしようとする
並々ならぬ行動力がうかがい知れ、
色々と考えさせられるゲームです。
…とか、スタッフロールだけ見て
しみじみしている場合ではないですね。
とりあえず、
ストーリー紹介をしましょう。
…主人公は、この国の王子様です。
愛する彼女との結婚を目前に幸せいっぱいであった彼ですが、
密かに兄の彼女に恋心をよせていた弟と、
王国のっとりを企てる魔法使いの手によって、
『スライム』に変身させられた上に、
草原に捨てられてしまいます。
絶望した王子は
弟への復習を決意し、ナイフでひたいに十字の傷を彫りこみ、
自分の血の最後の一滴までもアスランのために捧げることを誓…
とにかく魔法使いの悪事を止めるため、
自分の城を目指して旅立つのでした。
…それにしても好きですねぇ、
田尻さんは。
『兄弟ゲンカ』が。
■第二章 『特殊技能』
…当ゲームは、
『スライム』の特殊能力を付加した
「ジャンプアクションゲーム」です。
主人公には、
『体の変形』と
『壁への貼りつき』、
そして
『拾ったアイテムを体内に抱え込む』という、
3つの特殊技能があります。
『体の変形』は、十字キーの「上」や「下」を押すことで、
体を縦長にしたり平べったくして
障害物を避けたり、
伸びた部分で
敵を殴って倒すことができます。
『壁への貼りつき』は、壁に貼りついたまま
上下に移動するなどして行動範囲を広げたり、
トリッキーなマップの壁を的確に移動して
突破する楽しさを生み出すなどの利点があります。
そして、拾ったアイテムは
『体内に抱え込む』ことで、
それらを
蓄積したり、運んだりできます。
体内に取り込んでいる間だけ、
主人公の能力が上がるアイテムもあります。
…ただ、一見奇抜そうな当ゲームのシステム。
よーく見ると…
従来の「忍者ゲーム」とどこが違うの?
という、ちょっと意地悪い
ツッコミを入れられなくもありません。
とは言え、
「忍者」を主人公としたゲームであったら
闇夜がメインの舞台となるところを、
「スライム」を使うことで
パステル調の明るい画面に
ムリ無く馴染(なじ)ませた、と考えれば、
これは
「発想の勝利」と評価すべき点ではないでしょうか?
■第三章 『イイとこ 悪いとこ』
…では恒例の、当作品の
良し悪しの列挙をやってみましょう。
…力押しのできる部分は少なく、逆にキチンと考えて戦えば、
たいていの場所はノーダメージで突破することができます。
各ステージボスにも、それぞれ独特の攻略が存在するので、
解きがいがあります。
…敵が自分の体長分ほど離れていても、かろうじて
攻撃が届くほど、
主人公の攻撃範囲は広く設定されています。
ただ、そのせいで、
敵に囲まれても
とりあえず上下に暴れていれば
突破できてしまう場面にも度々であいました。
…
「草原」に始まり、
「砂漠」「海」「南極」「山」「天国」と、
多彩な場面が登場するので飽きません。
ただ、
「城」を目指しているはずの主人公が
ステージ4で
月に行くのが解(げ)せませんが…
(もちろん、月面の丸みに沿って進む場面をスーファミの回転機能で表現することで、
ファミコン時代の画面作りと一線を画そうとする姿勢自体は分かりますけどね。)
…良質なアクションではありますが、
スーパーファミコン初期の作品であるせいか、
まだまだ
発想がおとなしいです。
キツい言い方をすれば、主人公を
「忍者」にしてしまえば
ファミコン時代の「忍者ゲーム」と大差無し
とも言えます。
むしろ、主人公が
『忍者』であったほうが、
より多彩なアクション (忍術) を駆使できるゲームに
なっていたのではないか? …とも、考えてしまいます。
…「使用するボタン数」を減らすことは、
瞬間的な判断を要求するゲームにおいて非常に大切なことです。
が、
『ダッシュ・壁への貼りつき』と
『遠方攻撃用のボールの発射』を1つのボタンにまとめたのは、
ちょっといただけません。
常時使用する
「貼りつき」と、
ここ一番のために溜めておきたい
「ボール」を
同時に管理するのは難しいです。
一応、
『ボタンを押して上空にボールを射出した後、
ボタン押しっぱなしでボールをキャッチし、そのまま移動すれば、
ボールを消費せずにダッシュや貼りつきが使える。』
という技を
マニュアル内でフォローしていますが、
やってみると
面倒この上ありません。
…唯一の遠方攻撃アイテム
「ボール」が
使いにくいです。
弾道が
「山なり」なので、慣れが必要なのです。
上記の
「ボタン配置」と相まってほとんど溜まらないため、
ボス戦以外では、
取らずに無視して進んだほうが楽なぐらいです。
…主人公の攻撃範囲は広いですが、
敵と接触したかどうかを判定する範囲も見た目以上に広いため、
納得のいかない『ぶつかり死に』をよく体験します。
…やたらと仕掛けられた
『障害物』(底なし穴・巨大針・溶岩地帯) のせいで、
チマチマと
避ける動作が中心となり、
爽快感に欠ける展開になりがちです。
( 元々、『避けを主体としたアクション』を目指したのかも知れませんが… )
また、平べったい
『スライム』を主人公にしてしまったことで、
従来の
『人間』を主人公としたジャンプアクションに比べて
「地面や壁に密接した息苦しさ」を強く感じさせ、
発想の転換が必ずしもゲーム的発展には結びつかないことを
ヒシヒシと感じてしまいます。
…で、総評としては、
『スーファミならではの新しいアクション』を目指しながら、
「既存の (ファミコン時代あたりの) ゲームに対する田尻さんの深い知識」
が、逆に
足枷となって、おとなしい作品にまとまってしまった。
と、言えるのではないでしょうか?
丁寧に作られてて、好感は持てるんですけど、ね。
そうそう、蛇足ながら…
ゲーム中に、他のキャラとは明らかに一線を画した
『怪しい人間キャラ』
(「巨大鉄球をふり回す体育系少年」
「火の付いたバーをふり回す、はだかの肥満男」)
が登場するのですが、コレは一体なんですか田尻さん?
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